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ソーシャルレンディングに潜む危険性!安心して投資できますか?

ソーシャルレンディングはお金を運用したい個人が運営会社を通じて資金を必要とする企業へ貸付する仕組みです。貸付型のクラウドファンディングとも呼ばれていますね。

借り手は元本の返済に加え利息を支払いますが、この金利収入をソーシャルレンディング会社と個人投資家が分け合い、利益を享受するという仕組みです。

夢を追う起業家とそれを支援する個人投資家をつなぐ架け橋として、起業家を育て国内経済の活性化につなげる良い仕組みだとは思います。

しかしながら投資することの敷居も低いことから、投資の失敗やトラブルに巻き込まれる個人投資家も少なくはありません。

正しい投資判断をするためのいくつかのアドバイスができたらと思います。

ソーシャルレンディングに対するいくつかの疑問

ソーシャルレンディングの案件を見てみて、いくつか疑問に思うことがあります。

お金を借りる企業はなぜソーシャルレンディングに頼らなくてはならないのか?

ベンチャー企業として創業間もない会社であっても、支援する金融機関はいくつもあります。金融機関以外でも、良いビジネスモデルを構築していれば出資という形で事業会社からの支援も受けることは可能です。世の中のスタートアップの大半がそういった手段で資金調達を行っています。

それでは、ソーシャルレンディングに頼らなくてはならないのはどういった人・会社なのでしょうか?

資産背景のない個人が事業を起こすため、ビジネスのアイディアを示しソーシャルレンディングで資金調達を行うというのは理解できます。銀行の審査のベースにのらない、事業会社などの有力な出資者とのパイプが無いからです。

しかし、ネットで募集されている案件の中には、高利回りなバイオマス発電プロジェクトなど個人では難しい大型の案件が散見されます。こういったプロジェクトものは銀行などからPF(プロジェクトファイナンス)により資金調達することが比較的容易であるはずです。

あえて高い利息を支払ってまでソーシャルレンディングを利用するのでしょうか?きっと何か理由があるに違いありません。

プロジェクトファイナンスとは、特定事業に対して融資を行い、そこから生み出されるキャッシュフローを返済の原資とするため、企業の信用力や担保の価値に依存しない資金調達方法です。

ソーシャルレンディング会社自身はリスクを負わないの?

ソーシャルレンディングを運営する企業のビジネスモデルを考えてみましょう。運営会社は投資先から回収した利息のサヤを抜いて投資家に分配するだけであり、事業がうまくいかなくても損失を被ることはありません。リスクは投資家個人へ転嫁されます。

利息すら回収できなくなると、当然運営会社の収益も減ることになりますが、投資自体をしているわけではないので、収入が減るだけで損失は発生しないのです。

運営会社が収益を拡大させるには、投資先企業を多く集めることが大切でしょうから、広く投資先企業を探すことになります。事業の将来性の判断や正しい運用についての考えが二の次になっていないことを祈りたいですよね。

投資家は2つの貸倒れリスクを負うのでは?

これがどういう意味か分かるでしょうか?

投資家は下の2つのことを気に掛けなくてはなりません。

  1. 投資先企業の事業の行く末
  2. ソーシャルレンディング会社の行く末

投資先企業が今後うまくいくかは当然考えることかとは思いますが、ソーシャルレンディングを提供する運営会社自体に信頼性はあるでしょうか?

ソーシャルレンディングはまだまだ未成熟なビジネスモデルです。投資家保護の規制は確立されておらず、運営会社自体の不祥事などにより、投資家は大きな損失を被る可能性があるのです。

実際の不祥事案件にみるソーシャルレンディングのリスク

この数カ月の間に複数の不祥事に関するニュースが相次ぎました。
投資先の実態が不明瞭なまま投資した投資家たちは、虚偽の勧誘により損失を被ったとして損害賠償を求め提訴するというものです。

以下はニュース記事の抜粋です。

インターネット上で投資を募集し、企業に貸し付けるソーシャルレンディングを行う「ラッキーバンク・インベストメント」(東京)が、うその説明で投資を勧誘したため損害を被ったとして、個人投資家45人が22日までに、同社や代表取締役らに元本に当たる計約2億7千万円の損害賠償を求め東京地裁に提訴した。
(引用:2019/1/22日本経済新聞)

証券取引等監視委員会は22日、インターネット経由で融資を仲介するソーシャルレンディング業者のエーアイトラスト(東京・港)を行政処分するよう金融庁に勧告した。同社への処分勧告は2018年12月に続き2回目。実在しない架空の事業で投資を募ったとして勧告が出たばかりだが、他の募集案件でも金融商品取引法に違反する虚偽表示があったという。
(引用:2019/2/22日本経済新聞)

インターネット経由で融資を仲介するソーシャルレンディングの仕組みを使って集めた資金を目的外に流用したなどとして、投資家54人と法人3社が業界最大手「maneoマーケット」(東京・千代田)などを相手取り、計約11億円の損害賠償を求める訴訟を8日に東京地裁に起こす。
(引用:2019.3.8日本経済新聞

融資先の情報が開示されないことを許容しているので、こういった事件は起こるべくして起きたものであると考えます。ソーシャルレンディングが信頼できる投資として発展していくには情報開示の拡大は欠かせないものといえます。

投資先の実態は把握できているか

貸付先は本当に存在しますか?信頼できますか?

上記の事例にもあったエーアイトラストでは、復興庁や環境省が関わる原発事故の除染事業を対象に融資すると公表していたものの、実際は事業そのものが存在していませんでした。
そのほかの事業でも実在しない計画もろもろの虚偽表示が確認されています。

こんな投資案件でも年10%を越える利回りを求めて、多くの投資家が集まってしまうのが現実です。

つまり何が言いたいのかというと、融資先の実態も分からずに投資するのですか?ということ。

実在するかも分からない融資先に、高利回りが期待できるからといって盲目的に投資することは正しいことなのでしょうか?

融資先が不明な状況は解消されるかもしれない

なぜ投資家に対して融資先が明かされなかったのか。

これまでは貸金業法の借り手保護の観点から貸付先は「匿名」とされてきました。貸付先が明らかになってしまうと、貸し手側(投資家など)から返済を強く迫られる可能性があるからです。

しかしながらこの匿名性が、不適切な投資の原因となったり、投資家の判断材料を少なくすることから、ソーシャルレンディング市場の拡大を阻むこととなっています。

こうした中、政府の規制改革推進会議では、投資家保護の観点より投資先がより明確になる方策を検討する必要があるものと指摘しており、今後は情報開示の強化や透明性の拡大につながる規制等の拡充が期待されているところです。

ソーシャルレンディングで失敗しないために

古いネタで申し訳ありませんが、ソーシャルレンディングへの取り組み姿勢は「冷静と情熱のあいだ」であるべきだと考えます。

そもそもソーシャルレンディングは、自身が「これだ!」「このビジネスは成功する」と考えるものや、共感する起業家へ夢を託すといった趣旨で取り組みべきものであると考えます。

リターンは自分が信じたビジネスに結果としてついてくるもの。「利回り〇%」という数字だけを追うものではないでしょう。

情熱をもって大きなリターンを狙うロマン溢れる投資を行ってほしい一方、冷静な判断も必要となります。先述しましたが

  1. 投資先企業・個人の実態はきちんと把握できているか
  2. 運営会社は信頼できる会社か

この両方を押さえておく必要があります。

リターンへの期待感そのままにスマホやPCでホイホイっと投資することはナンセンス。今後の規制の変化を待って、情報開示の強化や情報開示の透明性がしっかりとした段階で投資を始めるほうが良いかもしれません。

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