外国PEPsについてわかりやすく解説します。
外国PEPsというのは、「外国の政府等において重要な地位を占める者や、その地位にあった者、またはそれらの家族、そして実質的支配者がこれらの者である法人」のことをいいます。
ざっくり言ってしまうと、外国の偉い(偉かった)人とその家族と、それらの人が所有する法人のことを指しますね。そもそも読み方すら分からないという方は、この記事で読み方から意味まで理解してしまいましょう。
偉い人たちは通常、国の政策や資金に大きな影響を与える立場にあるためマネーロンダリングなどの当事者となるリスクが高く、また、犯罪者のターゲットとしても狙われやすい存在と見なされています。
そのため、特に金融機関取引においては、外国PEPsに該当するかどうかを取引時に調査したりしています。
外国PEPsに該当する範囲、定義
外国PEPs(重要な公的地位にある者)に該当する範囲や定義は次のとおりです。
①外国において、以下に該当する職にある人
・日本における内閣総理大臣その他の国務大臣及び副大臣に相当する職
・日本における衆議院議長、衆議院副議長、参議院議長又は参議院副議長に相当する職
・日本における最高裁判所の裁判官に相当する職
・日本における特命全権大使、特命全権公使、特派大使、政府代表又は全権委員に相当する職
・日本における統合幕僚長、統合幕僚副長、陸上幕僚長、陸上幕僚副長、海上幕僚長、海上幕僚副長、航空幕僚長又は航空幕僚副長に相当する職
・中央銀行の役員
・予算について国家の議決を経、又は承認を受けなければならない法人の役員
②過去に上記の職にあった人
③上記の職にある方の家族(配偶者、両親、兄弟姉妹、子供、配偶者の両親)
④上記①〜③が実質的支配者である法人
日本における○○〜と言われても、あまりイメージが湧きませんよね。
意味が分からない人のために実在の人物を例にあげて考えてみましょう。
▶ご存知、アメリカ合衆国の元大統領ですね。大統領はアメリカ合衆国の国家元首であって、アメリカ合衆国連邦政府の長(おさ)でもあります。
日本において大統領はおりませんが、内閣の首長である内閣総理大臣と近しい職位に該当するものと判断できそうですね。したがってトランプ元大統領は元外国PEPsです。
加えて、重要な公的地位にある者が実質的支配者である法人も外国PEPsとしての確認対象となります。例えば…
▶トランプ大統領が単身でオーナーもまたは筆頭オーナーを務める約500の企業体の総称です。トランプ大統領が支配者であるこれらの法人に関しては、個人同様に外国PEPsと認められることとなるでしょう。
なぜ外国PEPsは申告・確認が必要となる?
2016年10月1日から、マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与の防止を推進するために、国際的な要請もあり、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」が改正されました。
この法律の中では、ハイリスク取引と呼ばれる、金融機関が最新の注意を払うべき取引が定められており、この改正に伴い、外国PEPs等との特定取引がハイリスク取引に変更されました。
- 偽り取引
- なりすまし取引
- イラン、北朝鮮に居住する顧客等との特定取引
- 外国PEPs等との特定取引
ではなぜ外国PEPsが追加されたのか?
外国PEPsは、贈収賄や横領などの不正な行為を通じて獲得した資金を、他国の銀行に預ることで、マネーロンダリング取引の当事者となる危険性が高いと考えられます。
このため、外国PEPs等との取引は、ハイリスク取引に指定されることとなりました。
PEPsの読み方や発音が分からない問題
PEPsは「Politically Exposed Persons(政治的に公職にある人たち)」の略語で、読み方に正解はありませんが、「ペップス」がもっとも使用されています。
正直言って、「ペプス」でも「ペップス」でもどっちでも伝わりますが、私は実務上「ペップス」で通しています。