債券価値に対する考え方が分からない
新入職員
債券って額面価格だとか、利回りだとか、少し複雑ではないですか?債券の価格自体が変動するといった理由もよく分かりません。
債券価格と利回りの関係性から学んでいく必要があるね。詳しく解説していくよ。
耕作
債券とは何か
債券とは特定の時期に利息や元本の支払いを約束する証券のことをいいます。株式とは違って返済義務があり、あらかじめ決められた利息や元本を支払う義務をもったものです。
詳しくは別の記事「債券とは何でしょうか?」で解説していますので、併せてご覧ください。
債券の価値をあらわす2つの基準
債券の価値は債券価格と利回りという2つの視点をもつ必要があります。
この2つは逆相関の関係にあり、債券を分かりにくくしている要因でもあります。
債券は将来に償還される(お金となって戻ってくる)価格と利息(年○%)があらかじめ決められています。このうち、将来お金となる金額を「額面」、利息を「クーポン」と呼んでいます。
今から10年後に期日が来る、額面100円、クーポン2%の債券をあなたが持っていたとしましょう。その場合、毎年2円(100円×2%)のクーポンを受け取り、10年後の期日に100円を受け取ることとなり、合計110円のお金を手にすることとなりますが、この場合の利回りはいくらでしょうか?
100円が110円になったから10%ではありませんよ。答えは2%です。
利回りは以下のような計算式で求められます。
要するに、利回りは1年あたりの収入を表しています。このケースの場合はクーポンと同じ2%です。
ここまでなら単純な計算で済み、分かりやすいかもしれません。しかしながら、債券は債券価格自体も変動します。以下の例を見てください。
AさんはBさんに対して10年後に期日が到来する額面100円、クーポン2%の債券を売りたいと考えています。
しかしながら、Bさんは発行体(債券を発行している会社など)が期日を迎えるまでに倒産してしまうリスクがある中で、2%のクーポンでは低すぎると考えており、買いたいとは考えませんでした。
そこで何としても売りたいAさんは、この債券を95円で売ることとし、Bさんは購入を決定しました。
このように、将来100円を手にすることができる債券が、100円ではない価格で売買されています。
このケースの場合、Bさんの利回りは下記の通り上昇してます。
最初の計算より複雑になりました。これが債券の理解を複雑化させる要因です。
少し難しいですが、債券は価格と利回りの関係性を見極めたうえで、購入の判断をしていく必要があるのです。
発行体とクーポンをみて債券価格が決定される
債券は額面がいくらで、何%のクーポンかが決定していますので、購入者は発行体の信用力を踏まえて購入の検討を行います。
したがって優良で信用リスクが少ない(倒産の懸念が少ない)発行体の債券については買いたい人が多く、逆に信用リスクの高い発行体の債券については買いたい人が少なくなります。(クーポンが同じと仮定した場合)
そのため、買いたい人が殺到するような債券は、額面どおりかそれ以上の価格で、買いたい人が少ない債券については額面以下で取引されるようになります。需要と供給の原理ですね。
単利と複利がある
これまでに計算してきたように、期日までに受け取ったクーポンを、単純に期間で割った計算方法をを単利といいます。このほかに、毎年受け取るクーポンを運用に回し運用額をさらに増やす方法を複利といいます。
日本の債券市場においては単利が一般的である一方、欧米などでは複利が一般的となっています。
国債と社債の利回りの違いは信用リスクの差
全く可能性が無いわけではありませんが、国家が破綻(デフォルトといいます)する可能性はほとんど無いため、国が発行する債券(国債)は非常に信用力が高いものとなっています。そのため買い手も多くつくため、債券価格は下がりにくく、利回りは低くなる傾向があります。
一方、一般の会社が発行する社債はというと、国と比較してデフォルトの確率は格段に上がります。そのため買い手側はそのリスクに応じた高い利回りを求めることとなり、国債等と比較して高い利回りとなる傾向があります。