預金口座との紐付けは必須ではない
マイナンバー(個人番号)と預金口座の紐付けは、2018年から開始されており、一時は全ての銀行預金口座との紐付けの義務化も想定され、私たち消費者は「国に預金口座=資産情報を全て把握されてしまうのでは?」という懸念をもつ事態となりました。
しかしながら多くの反対意見があったのでしょうか、銀行の預金口座との紐付けは義務化されず、本人の同意があれば、つまり任意で紐付けを行うものとなっており、2021年12月現在のところ、恐れていた事態には至っていません。
任意で1つの預金口座を登録できるようになる
現状の方向性として、「国民が任意で1人1口座を登録」する制度で整備が進んでいます。この目的は経済対策や災害時の給付金を素早く支給するため、入金する預金口座をあらかじめ把握しておきたいという意図をもっています。
新型コロナウイルスに対する給付金が国民1人あたり10万円給付されましたが、この手続きについては、自治体側で大変な苦労があったことを当時のニュースで記憶しています。もし、1人に対し1つの預金口座が把握できていれば、これまで給付される側(私たち)から申告を受けた振込先の口座情報を照合する事務がなくなり、給付手続きを円滑かつ正確に行うことができるというわけです。
マイナンバーとの預金口座紐付けにデメリットはなさそう
私たちからみても、1口座のみの預金口座情報であれば、全ての資産を把握することは困難であるため、マイナンバーと紐付けすることに対して躊躇する理由はなさそうです。
預金口座との紐付けは2022年度からマイナポータル上で、銀行窓口では2023年を目途に可能となる予定です。なお、登録先はデジタル庁(国)となります。
預金口座を登録(紐付け)するメリットは
マイナンバーと紐付けした預金口座は「公的給付支給等口座(公金受取口座)」と呼ばれますが、これにより以下のようなメリットを享受できます。
- 緊急時の給付金申請において、申請書への預金口座情報記載や通帳写しの提出が不要になる
- 年金や児童手当、所得税の還付金などの給付金支給がスムーズに受け取れるようになる
これから紐付け義務化が始まる可能性もある
一方で、「1人1口座紐付け」の制度では引き続き「任意」とすることから、給付金などを支給する際に、自治体側が口座情報を把握できる人とできない人に分かれることとなります。これでは緊急時の給付金事務の簡素化が限定的になる懸念があること、行政コストの削減効果も限定的となること等を踏まえ、制度改正の余地も残されているといえます。
もしかすると国民1人あたり1つの預金口座情報登録の義務化(必須化)は将来的にあるかもしれませんね。法整備次第ですが。