のれん(goodwill)とは、企業の買収・合併(M&A)の際に発生する、「買収された企業の時価評価純資産」と「買収価額」との差額のことである。(連結会計にあっては投資価額と被投資企業時価評価純資産のうち持分相当の差額)
出典:wikipedeia
のれんとは、買収時に支払った金額のうち、買収先の純資産を上回った額のことをいいます。
つまり買収先のブランド力など見えない資産価値を表しているものです。
通常、ブランド力というものは、お金の価値として示すことは難しいものです。
ですが、もし有名なブランドを持っている純資産10億円の企業が自身の会社を売却するときに、純資産価格10億円そのままで売却するでしょうか? 答えはNO。広い知名度や持っている技術力など純資産価値を越える評価を踏まえ、10億円を上回る価格で売却することになるでしょう。
もし20億円で売却したとすると、純資産との差額10億円が「のれん」として、買収した企業のバランスシート上の資産の部に計上されます。資産の部に計上されるということは、反対の勘定では自己資本として10億円が計上されることとなります。
日本基準ではのれんを定期償却する
のれんは買収コストですので、費用計上していく必要があります。
日本の会計基準では、こののれんは最大20年間に渡って平準化して償却し、費用計上していくこととなります。
ですが、こののれんは固定資産に計上されるため減損会計の適用対象ともなります。すなわち、のれんの価値が著しく下落した場合等は減損処理をする必要があります。
IFRSは定期償却しないが、毎期減損がないか確認する
米国会計基準やIFRSでは、のれんの費用を計上していません。そのため償却を行わないことから日本基準と比べて利益が大きくなりやすくなっています。
一方で、毎期、買収先の収益力を厳しくチェックしており、収益力が低下していた場合には減損損失を計上して一括でのれん代を償却しなくてはなりません。
したがって、通常は日本基準と比べて償却がない分、費用負担はありませんが、減損が発生した場合には大きく利益を押し下げる事態が発生し、場合によっては赤字に転落する可能性もあります。
この方法については様々な議論があったことから、現在はIFRS基準の企業買収を巡る会計処理の見直しが行われています。
現在は償却を行わないIFRS基準ののれんですが、のれんの費用計上を義務付ける方向で検討が進んでいます。
負ののれんは安い買い物をしたときに計上される
上述ののれんは「正ののれん」であり、反対に「負ののれん」と呼ばれるものがあります。
これは買収額が純資産額よりも小さかった場合の差額のことをいいます。安い買い物をしたということですので、負ののれんは会社の利益を押し上げる方向に働きます。
正ののれんは貸借対照表の資産に計上されていましたが、負ののれんは一括利益処理をすることとなります。
したがって、安く企業を買収した年の決算は利益が大きく計上されることとなります。