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消費税の増税前に金を買っておけば儲かるんじゃないの?金投資の増税プレミアムについて

2019年10月に消費税が8%から10%に上がる増税が予定されていますね。
増税によって私たちの家計は様々な面で負担を強いられることになります。

そんな消費税の増税ですが、金融商品によっては投資の追い風となることもあります。

それは「金の現物」です

税込価格で売買される金地金

実物資産の金は購入時に消費税を加えた価格を支払うこととなりますが、売却時にも消費税を含めた価格で買い取ってもらうことができます。

2019年1月25日時点の金の税込小売価格は1グラムあたり4,921円。もし金の価格自体が変わらないとすると、消費税が8→10%へ2%アップした場合、税込小売価格は5,012円となりますよね。91円のアップです。

少額すぎるので大胆にいきましょう。
同じ価格で金1kgを購入した場合、税込4,921,000円で、増税後は税込5,012,000円となり、差額99,000円の特となります。

これを増税プレミアムといいます。
金を持っているだけで自動的に利益が出るなんてすごいですよね?

ただ買うだけなんで元手さえあれば誰だってできちゃう話です。
当然みんなが食いつく儲け話であり、過去の消費税増税時(5%→8%)にも話題になりました。

増税前後の売買で本当に儲かるのか

結論からいうと増税時の短期的な売買で利益をだすのは難しいでしょう。

それは増税プレミアムを狙った金投資にはいくつかの注意点があるからです。

  1. 金価格そのものの変動リスクがある
  2. 500g未満の売買には手数料(バーチャージ)がかかる
  3. 購入価格と売却価格にスプレッド差(いわゆる小売店に対する手数料)がある
  4. 税金の支払いがある

金価格の変動リスク

詳しく見ていきましょう。
金価格そのものの変動は当然ですよね。日々価格は変動するものですので、購入時の価格より販売時の価格が低下すれば当然損失が発生します。これについては上手く相場の流れを掴めれば問題ないかもしれません。

バーチャージの支払い

バーチャージというものは500g未満の金地金に別途手数料が発生するというもので、購入時および売却時両方にかかる手数料です。以下は田中貴金属の手数料ですが、結構な金額が手数料として発生します。

田中貴金属の手数料出典:田中貴金属 https://gold.tanaka.co.jp/inquire/buying/charge02.html

したがって手数料をゼロにするには、500g≒250万円相当の金を買う必要があります。私たち一般消費者が気軽に購入できる金額ではありませんね。

スプレッドによる購入・売却価格差

スプレッドというのは、購入価格(小売価格)売却価格(買取価格)の差額のことをいいます。
スプレッドは一定ではなく、相場の状況によって変動します。
例えば、金の購入価格が4,921円であれば、同時点の売却価格は4,821円と100円の開きが発生するようなものです。

だいたいスプレッドは1.8%程度ですので、金価格が変動しない前提では、単純な売り買いで1.8%持っていかれることになります。

消費税分2%の売却価格が上昇しても、1.8%取られてしまえばほとんど収益は見込めませんね

税金の問題

税金ですが、個人が金の売却によって利益を得た場合は譲渡所得とみなされ、年間で50万円以上の利益が発生した場合にその超過分が課税対象となります(購入後5年以内に売却した場合)。

上述のバーチャージおよびスプレッドによって既に増税分の利益は吹っ飛んでいると思いますので、税金自体はそこまで気にする必要もないかもしれませんが。

金の積立投資を始めるには良いタイミングかも

以上の通り、増税プレミアムを狙った短期的な金投資は利益を狙えないことが分かりましたね。

ですが、金の長期投資を始めるタイミングとしては良いかもしれません。
購入時のスプレッド相当が増税によりペイできるというのは結構大きいからです。

インフレによる通貨価値下落時や地政学リスクなどによる米ドル回避の動きの時に金価格は上昇します。リスク資産として運用することも戦略としては全然ありですので、増税前の今からコツコツ金投資を始めるのも一考ではないでしょうか。