投資その他

長期投資におすすめしたい考え方。戦略はバランスシートを作成してから立てよう。

こんにちは耕作です。

本日はこれから長期投資を始めたいという初心者のために、長期投資に対する考え方をお伝えしようと思います。

バランスシート(BS・貸借対照表ともいいます)というものをご存知でしょうか?少しでも会計や企業分析に関与したことある人ならばご存知かもしれませんね。

バランスシートは、資産と負債、そして純資産の状況を表すものですが、投資によって資産を増やしたいと考えているならば、自分のBSを把握して、それを大きく育てていくという考え方を持たないといけません。

長期投資の考え方から変える

投資戦略は「Grow rich slowly」に尽きる

投資というものは戦略を立てて、長期的なビジョンをもって資産を大きくしていかなくては成功しません。
「Grow rich slowly」とは、ゆっくりと着実に財産を形成していくことをいいますが、個人が資産を大きく育てていくにはこの言葉を胸に刻んでおく必要があるのです。
短期的に大きな利益を手に入れることは、単にギャンブルに勝ったのと同じです。そこには投資戦略というものは存在していません。競馬やパチスロで勝ったのとなんら変わらないのです。

初心者にありがちな考え方

投資初心者の大半は一定期間の収入から支出を除いた利益を表す「損益計算書(PL)」の考え方に重きを置いてしまいます。つまり、「いくら投資して、いくらの利益になったか」を日々追っかけているのです。

こういった人は、日々の損益が気になり、株式・投資信託・FXなどの短期的な運用の結果に一喜一憂して、流行りに乗って急いで投資したり、狼狽売りをしたり、こまめにポートフォリオを変更したりと忙しい毎日を送っています。

資産形成には長期投資がもっとも良いことは分かっているはずなのに、どうしても毎日毎日為替や株価が気になってしまいますよね。

気持ちは本当に分かります。でもそれでは疲れませんか?長期投資ならもっとどっしりと構えていていいはずなんです。

日々の損益を追うことではなく、個人のバランスシートを育てることが資産形成だと知れば、きっとあなたの投資戦略が変わるはずです。

自分のバランスシートを作る

バランスシートの基礎知識

まずはバランスシート(以降よりBSと書きます)を知らない方のために簡単な解説を行います。
ちなみにBSを日本語でいうと貸借対照表です。

貸借対照表[たいしゃくたいしょうひょう]とは、一定時点における企業の財政状態を示す一覧表のこと。バランスシートともいう。企業の「資産」と「負債」「資本」を対照表示することによって、企業の財政状態を明らかにする報告書である。資金の調達源泉と、資金の用途が記されている。貸借対照表は、資産、負債、資本の分析をすることで、企業の安全性や手元流動性を判断することができる。 出典:㈱イーコンサルタント

BSを図で表すとこのようになります。
左側が資産の部、右側に負債の部、資産から負債を除いた残りが資本の部となります。
これは一般的には企業の決算期末時点の資産と借入金、および自己資本がどの程度あるかを示す表となりますが、個人であってもこのような表は作ることが可能です。

これを作成することによって、あなたの資産はどんなものがいくらあり、一方で借金などの負債はどの程度あり、その差額となる純然たる資産の額はいくらかを把握することができます

まずは自分の資産と負債をリストアップする

あなたの資産の現在の価値はいくらですかと聞かれて、すぐに答えることはできますか?現金、預金、株式、投資信託、外貨、不動産、生命保険も含めた全てですよ。

また、負債はどうでしょうか。車や住宅のローン元金だけではなく、今後支払わなくてはならない利息も含めた金額を把握しているでしょうか?

これらが答えられなければ、あなたは自分のBSを把握していないことになります。

まずはひとつずつ書き出して一覧表を作っていきましょう。
現金、預金、株式の現在価値、保険の現在価値(貯蓄性の保険であれば)、不動産の時価評価は資産の部に。

クレジットカードの未払金、キャッシング残高、住宅ローンや自動車ローンは負債の部に計上しましょう。ローンは繰上げ返済をしない限り、金利が発生します。将来に渡って支払うこととなる金利を算出して(変動金利であれば概算で構いません)未払利息として負債の部に併せて計上しましょう。また、携帯電話の分割払いも立派なローンです。

一通り書き出し、バランスシートに入れていくことで、最終的なあなたの純資産(自己資本)が判明します。
ちなみに純資産=資産合計額−負債合計額で求められます。

「この株式はすぐ売却する予定だ」、「マンションは値上がりしているから売ってローンを返すつもりだ」、「自動車ローンは次のボーナスで全て返すから除いてもいいか」など色々な理由を考えてしまいがちですが、ここで大切なのは現時点での資産と負債をはっきりさせるということです。
ありのままの姿で作り出してください。

すごく地道な作業ですが、必ず行うべき作業です。

なぜバランスシートを作る必要があるのか

ローン金利の負担が大きいことを認識すること

住宅や自動車などのローンがある人、キャッシングや銀行カードローンがある人はここで金利負担の大きさが分かるはずです。

特に住宅ローンはとんでもない額の利払いが待っているはずです。そうです、ローンによる住宅購入は資産を手に入れているわけではありません。あなたの純資産(自己資本)を減らしているケースが大半だったりします。

資産管理の対象は減らしたほうがいい

預け先金融機関が多数であったり、保険の換金性が不明瞭だったり、投資資産が多数(国内外株式、MMF、公社債投信ほか外貨建ての金融商品、債券など)に渡っていたりして、容易に把握することが困難になっていませんか?

まずは自分の資産の把握することを容易にすることは大切です。管理が行き届かなくなることは、収益機会の損失や様々リスクを招くことになります。

長期投資の戦略・実践の土台づくりのため

ポートフォリオという言葉があります。どのような金融資産を組み合わせていくかという考え方のことです。ポートフォリオを策定する前に、自分のバランスシートを作成し、分析することが長期投資のスタートライン立つことが重要。現在の資産状況を踏まえ、国内株式・債権、外国株式・債権、投資信託等のどの投資を行うか判断していく必要があります。

まずは負債を圧縮すること

5%の利回りを得るために、15%の金利で消費者金融からお金を借りるのは論外であることは理解いただけるはずです。

キャッシングやカードローン、クレジットカードのリボ払いの残高がある人は、まずそれらを精算していない限り投資を行うスタートラインにも立てていないといえます。

自動車ローン、住宅ローンについても、少しでも多く繰上げ返済を考える必要があります。現在は低金利の環境であり、年利1%前後で借りることができたかもしれません。ですが、投資で1%以上の利益を安定的に出すのはそこまで容易ではないことを認識してください。

かの有名な投資家バフェットは借金をしてまで投資はすべきではないといいます。「借入金を上手く使って投資をする」ということはまず考えないほうが良いでしょう。

「資産」を増やすのではなく「純資産」を増やそう

「財を成す」というのはバランスシートでいう資産を大きくするだけではありません。純資産を大きくすることです。

純資産は資産を増やすと同時に、負債を圧縮することで大きくなります。

疑問なのは購入した住宅をまるで純資産のように考えてしまう人が多いということです。

バランスシートで見た場合、住宅は資産の部に計上されますので、「住宅」=「資産」なのは間違いではありません。ただしその分負債と見合っているか、金利負担を含めれば負債のほうが大きくなり、決して「純資産」とはいえないのです。

BSをモニタリングしながら純資産を育てていく

完成したBSは、その後定期的に変動をモニタリングして行く必要があります。
経済の動向などを踏まえて、「預金から株式への割合を増やすのはどうか」などとシュミレーションを行いながら管理していってください。

長期的な視野に立った投資ですので、短期間の損益に一喜一憂せず、あとはどんと構えていれば良いのです。

以上が長期投資を行うにあたっての基本的な考え方です。
あなたの資産形成がうまくいきますように。