2018年10月にリリースされたMoneyTap(マネータップ)は個人間の送金を24時間365日リアルタイムに行うことができるアプリです。
「対応する銀行数が少ないから使えないよね」と考えている方も多いかもしれません。確かにリリース間もなく、個人の利便性は良いとは言えない状況であり、今のところユーザー数はそこまで多くありません。
しかしながら、マネータップには今後一気にシェアを伸ばしていくポテンシャルがある考えています。なぜ多くのスマホ向け決済アプリが誕生している中で、マネータップに期待しているのか。その理由について解説していきます。
- 個人間の送金が便利になってほしい
- MoneyTapを詳しく知りたい
- MoneyTapの今後が気になる
Money Tap(マネータップ)について
Maney Tapとは何か
SBIグループ主導の「内外為替一元化コンソーシアム」から誕生
内外為替一元化コンソーシアムとは、ブロックチェーンや分散台帳技術を活用して、国内外の為替を一元化し、24時間リアルタイムでの送金インフラ構築を目指すもの。分かりやすく言えば24時間いつでも国内や海外へ即時振込みができるシステムを作りましょうというもの。
既にこのコンソーシアムにおいては、米国のリップル社の技術(XCurrent)を搭載した送金プラットフォームを構築しており、成果物の1つとしてスマートフォン向けアプリ「MoneyTap(マネータップ)」が誕生したというわけです。
対応銀行は3行のみ(2019/2時点)
2019年2月現在、対応している銀行は、住信SBIネット銀行、りそな銀行、スルガ銀行の3行のみです。これらの銀行に口座をもっている人同士であれば、24時間ほぼリアルタイムで送金が可能となります。
Money Tapアプリで何ができるのか
マネータップは、銀行口座から銀行口座への即時直接送金を行うためのアプリです。事前のチャージは不要で、シンプルな操作で送金を行うことができます。対応する銀行でインターネットバンキングを使用可能であれば、誰でも利用することができます。
なお、お金を受け取る人がアプリを使用していなくても、対応銀行の口座を保有していれば送金が可能です。
アプリの特徴・強みは何か
現在のマネータップの強みを確認してみましょう。
- 振込先の指定は口座番号だけではなく、電話番号でも可能
- 24時間365日リアルタイムの送金が可能
- 銀行口座からの直接引き落としのため、事前のチャージ等手続きは不要
- 振込手数料が現状かからない(※今後発生する可能性はあります)
- 銀行主体で取り組んでいるため、信頼性が高い
マネータップはモバイル決済アプリの主役になりえる
筆者は個人的にマネータップが今後の個人がお金を管理するメインアプリになるものと考えています。
QR決済に対応しつつ個人間送金も可能となるアプリのリリースが各社から行われている中で、なぜマネータップが主役となるのか、その理由について解説していきます。
送金だけではなく、決済手段となる機能が拡充される見通し
事業を推進するSBIホールディングスの決算説明から、今後のマネータップの取り組みについて知ることが出来ます。同社の2019年3月期第3四半期決算説明において、マネータップが決済手段を提供することが発表されており、併せて以下のような説明が行われています。
- 加盟店の初期費用無料
→専用端末が不要 - 加盟店手数料が低額
→デビット型の決済(口座引き落とし)でありチャージ費用不要
→業界最低水準の手数料でサービス提供 - 入金までのリードタイムが短い
→最終的にはリアルタイム着金を目指す
(当初は翌日入金を予定)
以上のように、加盟店の負担を軽減することを最大の強みとしています。
ではなぜ、加盟店向けのメリットを強調しているのでしょうか。
キャッシュレス決済普及のカギは加盟店の動き
キャッシュレス決済を加盟店側(小売店など)が導入するメリットは、多様な支払い手段を提供することでお客さんの呼び込みが図れることや、現金管理の簡素化が図れるということです。
一方で、加盟店側はキャッシュレス決済を導入するために、決済に対応した端末を入手する必要があること、決済業者に対する手数料として売上の何%かを支払う必要があること、現金とは違い、売上金を手に入れるまでに時間がかかり、資金繰りに影響してしまうというデメリットがあります。
したがって加盟店にキャッシュレス決済が普及するかどうかは…
- 決済端末などの初期コストが安いか
- 加盟店手数料が安いか
- 売上金入金までの時間は短いか
これらがポイントとなります。
すでに普及しつつあるQR決済などのモバイル決済については、加盟店側でスマホやタブレット端末にソフトウェアを導入するだけで利用可能となっており、上記のうち初期コストの負担については解消されつつあります。
したがって、最も重要なポイントは手数料負担と売上金の回収時間ということになります。これらの問題が解決(手数料が安い、すぐに入金される)されることで、キャッシュレス決済は資力の乏しい小売店でも急速に拡大していき、国内全体の普及につながっていくこととなります。
Money Tapによる決済は加盟店にとって魅力的になる
したがって、業界最低水準の手数料を目指し、入金のタイムラグも少ないマネータップの決済サービスは、加盟店にとって非常に魅力的なものとなります。
大切な売上金をたくさん持っていかれてしまう心配が少なく、入金が早く済むのであれば、資金繰りへの影響は少なく黒字倒産の心配は少なくなります。
競合するLINEPayなども加盟店向け手数料の無料を掲げていますが、2021年7月までの期間限定であり、以降は売上の2.45%程度をLINEに支払う必要があります。こういった競合会社より安価な手数料体型が提供されることが期待されます。
対応銀行が増え、送金を安く気軽に行える
現時点では3行のみの対応ですが、今後確実に取り扱い金融機関は増加します。
更新系APIという技術を用いてリアルタイム送金を実現しているアプリであるため、銀行側もこの更新系APIの開発をまず進めているという状況です。この開発が完了した段階で、随時金融機関は参加に動くものと考えられます。
内外為替一元化コンソーシアムに参加している金融機関は一時61行となりました(その後いくつかの地銀は撤退しています)。参加行の預金合計は国内預金量の8割を越えるといいます。
システム面での技術的課題が解決に進めば、提携金融機関が増え、利用できるユーザーの裾野が爆発的に増加するものと考えられます。また、送金手数料は今後必要となる可能性はありながらも、従来の銀行振込よりも安価な設定になるものと予想され、安く簡単に送金ができるようになるのではないでしょうか。
Money Tap(マネータップ)のまとめ
いかがでしたでしょうか。あくまで筆者の推測ではありますが、マネータップが今後モバイル決済・送金の主役になる要素を含んでいることがお分かりいいただけたかと思います。
その理由については下記のとおり
- 電話番号を用いて個人間送金が24時間リアルタイムで可能
- 今後は決済機能が追加される見通しであること
- 加盟店側のメリットが多く、決済が使えるお店が普及する可能性が高い
- 提携銀行が増える可能性が高く、利用者のユーザビリティが確実に向上する
個人間送金についてはMoneyTapで、会社などの事業資金については従来通りの銀行振込で、というように、今後は個人と法人で振込のあり方が変わってくるのではないかと考えています。