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債券利回りの計算方法を説明できません。分かりやすく教えてください

債券投資に興味があるのならば、利回りの考え方について正しく理解していなければなりません。
そもそも利率と利回りをを混同している方をよく見かけますし、複数ある利回りの考え方をご存知ではない人も多いので、当記事にて理解が深まるよう分かりやく解説していきたいと思います。

利率と利回りの意味は異なる

利率というものは金利そのものを示しており、元本に対する利息の割合が1年で何%かを示すものです。
例えば、元本100万円に対して1%の金利ということであれば、1年後には100万円×1%=1万円の利息が発生します。
主に預金金利やローン金利に用いられますね。

一方、利回りという言葉は債券(国債など)投資などで主に使用されます。

(参考記事:債券とは何でしょうか?

債券には表面利率またはクーポンレートと呼ばれる額面に対する1年間の利息の割合である利率が定められています。
例えば額面が100円で、利率が1%の債券であれば、毎年1円がもらえることとなります。
しかしながら債券の価格自体が変動するため100円で買うとは限りません。額面100円の債券を95円で購入できた場合、95円の投資に対して年間1円の利息がつくので、利回りは1.05%(1÷95)と、利率より利回りが高くなることとなります。

つまり利回りというのは投資や運用を行った資金に対する利息の割合のことをいいます

利回りには複数の種類がある

もう少し利回りについて詳しく解説していきます。

利息だけを考慮している上述の利回りのことは直接利回りといいます。
債券は発行期間中の自由な売買が可能であるため、保有期間に応じて、応募者利回り最終利回り所有期間利回りといった考え方があります。

  1. 応募者利回りとは、債券が発行されるときに購入して、償還期限まで保有したときの利回りのことをいいます
    この利回りは[利率+(額面−発行価格)÷償還期限]÷発行価格×100で求めることができます。
  2. 最終利回りとは、債券が発行されてしばらくしてから購入し、償還期限まで保有したときの利回りのことをいいます。
    この利回りは[利率+(額面−購入価格)÷残存年数]÷購入価格×100で求めることができます。
  3. 所有期間利回りとは、債券が発行されてしばらくしてから購入し、償還期限前に売却したときの利回りのことをいいます。
    この利回りは[利率+(売却価格−購入価格)÷保有期間]÷購入価格×100で求めることができます。

以上のように、債券は購入と売却のタイミングによって利回りが変わってくるのです。

最終利回りがマイナスでも、所有期間利回りがプラスであれば債券は買われる

利回りがマイナスということは損失を意味しますから、そのような債券の購入は通常行いません。
しかしながら、日銀はマイナス金利導入以降、長期国債が高値(マイナスの利回り)であっても買い取りを行うと表明していました。そのため償還期日前に売却をしてしまう所有期間利回りについてはプラスにできることが見込まれたため、マイナス利回りとなった国債でも、投資家に買われ続けることとなったのです。