金融一般情報

銀行振込の即時入金「モアタイムシステム」の知っておくべき仕組みと留意点とは

モアタイムシステムってどういう意味?

消費者B子
消費者B子
銀行のモアタイムシステムが稼働したと聞きましたが、私たちにとって何が変わるんでしょうか?
耕作
耕作
モアタイムシステムは銀行振込の24時間化が可能になるシステムのこと。これによって私たちが振込できる時間が従来より広がり便利になったはずなんだけど、注意しなくてはならないポイントもたくさんあるんだ。

2018年10月より、銀行振込の取り扱い時間が拡大しました。これにより振込みは24時間365日いつでも他行口座へ振り込めるようになりましたが、全ての金融機関が対応しているわけではありません。
銀行によって取り扱い時間が異なるため、即時振り込みができると思っていても、振り込み完了まで想定より時間がかかってしまう可能性があります。
本日はこの「即時振込サービス」について分かりやすく解説していきます。

金融機関利用の「コアタイムシステム」に「モアタイム」が追加された

国内にあるほぼ全ての民間金融機関は「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」というものを利用し、金融機関相互の為替取引(振り込み手続き)を行っています。
これまで私たちは平日8:30から15:30まで稼働している全銀システムの「コアタイムシステム」と呼ばれるシステム内で、銀行間の振り込み手続きを利用してきました
そのため、銀行営業時間内に振り込み手続きを行えばその日のうちに振り込みが可能でしたが、営業時間外となると翌営業日のシステム稼働開始時間以降まで、振り込みは完了しませんでした。

この利便性を改善するため、数年前から開発が始まっていたのが「モアタイムシステム」というもの。
このシステムにより、8:30〜15:30間のコアタイム以外の時間、つまり24時間365日、土日祝日関係なく振込のシステムを金融機関が使用できるようになりました。

つまり既存のコアタイムシステムに+αで追加されたものがモアタイムシステムというものです

モアタイムシステムへの参加は金融機関の任意

システムに接続する銀行としない銀行がある

すべての金融機関がこのモアタイムに常時接続してくれれば、何も考えずに24時間365日いつでも銀行口座の資金移動を行うことができて大変便利だったのですが、残念ながらモアタイムシステムへの参加は金融機関の任意となっています。そのため、既存のコアタイムのみの接続(これまでの振込時間と変わらない)の金融機関と、振込み可能時間が延長された金融機関が混在することとなってしまいました。

参加・対応銀行は504行(システム稼働時点)

2018年10月現在、コアタイムシステムへの参加金融機関(ほぼ全ての金融機関)1,276行に対し、モアタイムシステムへの参加を決定したのは504行と、過半数を割っています
システム対応が難しく、参加時期を遅らせている金融機関もありますが、外銀など経営判断として参加を見送っている金融機関もあります。

不参加の金融機関についてはこちらの記事をご覧ください。

モアタイムシステムに不参加の銀行一覧まとめ
【24時間振込】モアタイムシステムに不参加の銀行一覧・まとめ(2023年10月更新)振込最大24時間可能となるモアタイムへ参加していない銀行はご存知でしょうか?この記事ではモアタイム参加を見送った銀行を紹介しています。銀行振込を利用する予定のある方は確認してみましょう。...

モアタイムに参加しても24時間振込可能とは限らない

また、金融機関がモアタイムに参加したとしても必ず24時間即時決済に対応するわけでもありません。
参加金融機関はシステムに接続する時間を任意に設定することができるため、夜間は21時迄の対応としたり、週のうちどこかのタイミングでメンテナンスのため接続を行わないようにするなど、その対応はまちまちです。

大手金融機関でいうと、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、ゆうちょ銀行などが概ね24時間対応することとなりますが、一部金融機関では5:00から18:00までだったり、8:00から21:00の間の接続だったりと各金融機関で異なるため、ご自身が利用されている金融機関の対応時間をチェックしておく必要があるかと思います。

以下のリンクは参加各金融機関の当初接続予定時間ですので参考としてください。
全銀ネット公表資料:接続予定時間一覧(Excel)

24時間即時振込化後もこれまでと変わらないこと

24時間即時振込化後もこれまでと変わらないこと

多額の送金は通常通りの時間で振り込みされる

モアタイムの接続時間に送金可能な金額は1億円未満と決まっています。
そのため、1億円以上の送金を行う場合には、今まで通りコアタイム接続時間(概ね銀行営業時間)に対応する必要があります。

総合振込や給与振込も従来通りの時間のまま

また、あらかじめ入金を指定した振込(振込予約)や複数の振込を一括して依頼する振り込み(総合振込や給与・賞与振込)についても対象外となり、これまでどおりコアタイム接続時間の入金となりますし、公共料金の引き落としなども送金とは関係がありませんので、今までどおりの時間に引き落としとなることでしょう。

24時間即時振込化に関して注意すべきこと

振込先金融機関が接続していなければ振込完了とならず反映されない

あなたが使う銀行が24時間振込に対応していても、振込先の銀行が振込時に全銀システムに接続していなければお金は送金されませんその場合、一旦振り込みはプールされ、相手先の銀行が接続したタイミングで完了することとなります。
したがって、即時入金を行いたい場合は、自身が利用する銀行のほか、振り込み先の銀行の対応時間も勘案する必要があります。(インターネットバンキングを利用した際には、相手先銀行を選択した時点で即時入金可能か表示されるような仕組みになると考えられます。)

夜間の振込手数料が高くなる可能性がある

金融機関は任意で送金手数料を設定することが可能ですので、モアタイム接続時間の振込手数料が通常の時間より高くなる可能性もあります。よく確認して利用するようにしましょう。

個別に適用を除外しているケースがある

事業者などにおいては、24時間化されてしまうと、夜間の入金等も発生する可能性があり、事務処理ほか取り扱いが難しくなることから、従来通りの入金時間のままとしてほしいニーズが多くあります。
そのため、事業者によっては(個人も可能ですが)、24時間即時入金の適用を除外してほしいという除外の届出を出しているケースがあります。

例えば、クレジットカード会社などローンを扱う大手事業者などでは入金の日付(返済日)がはっきりしなくなったり、事務が複雑化すること、システム対応が難しいことを理由に除外していることがあります。
例えば、ローンなどを延滞してしまった人は、ローン会社の指定する口座への入金を求められることが多くありますが、この場合だと期日の15:00頃までに入金を完了させておかないと、翌営業日扱いとなる可能性があります。
夜間でも振込ができるからといって後回しにしてしまうと、支払いが遅延してしまう恐れがありますので良く調べておくべきでしょう。