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株式の信用取引 | 株価下落局面や株主優待獲得に役立つ制度だって知ってる?

信用取引の概要

信用取引とは

信用取引とは、現金や株式を担保として証券会社に預けたうえで、証券会社からお金を借りて株式を買ったり、株券を借りてそれを売ったりする取引のことをいいます。
手持ちの資金(担保)の約3倍まで取引が可能であり、小さな元手で大きな利益を追求することが可能です
いわゆるレバレッジをかけた取引ができるのが「信用取引」なのです。

信用取引が行われている理由

もし信用取引がなければ、投資家は手持ちの現預金のみで株式を購入しなくてはならないため、株式市場に参加できる人が限られ、市場そのものが小さくなってしまい、わずかな売買高でも株価が大きく動く可能性があります。信用取引の制度があれば、手持ち資金以上の株式売買が可能となるため、売買高が増加し、株式市場の公正な価格形成が促されるようになるのです。
ですから信用取引というものは株式市場に必要不可欠な制度といえるのです。

拡大する信用取引

信用取引は個人投資家において一般的な取引になりつつあり、個人投資家の売買代金の過半数が信用取引となっています。
2013年に信用取引の制度改正により、委託保証金の計算方法が変更となり、資金効率の高い取引が可能になったこともあり、個人投資家の信用取引の利用率は近年上昇傾向にあります

信用取引の仕組み

例として、手元の資金33万円を担保(委託保証金)として約3倍の資金または株式を借りて、株式の信用取引を開始するとします。
取引の方法は、以下のとおり信用買い信用売りの2つの取引パターンがあります。

①信用買いのケース

(出典:楽天証券
信用買いでは、借り入れたお金で購入した株式の値上がりした場合、その利益を受け取ることができます。
一方、株価が下落した場合、損失分については担保に提供した33万円がら差し引かれることとなります。

②信用売りのケース

(出典:楽天証券
これがいわゆる「カラ売り」というもの。
手元の33万円を担保(委託保証金)に入れて、値下がりするだろうと思う株式100万円相当(100株とします)を借りてきて100万円で売りに出します。その後、思惑通りに値下がりしたタイミングで、借りたのと同じ株数100株を80万円で買い戻すことで、借りてきた100株を返し、20万円の利益を得ることができます。
一方、値上がりしてしまった時は、100株を買い戻すのに100万円以上の費用がかかってしまうため、値上がりした分だけ担保として提供した33万円より差し引かれることとなります。

信用取引の留意点

このように信用取引では、少ない元手で3倍程度の大きな利益を狙うことができますし、相場が下落基調のタイミングでも利益を狙うことが可能ですが、いくつか注意しなくてはならないことがあります。

信用取引の注意点①返済期限がある

資金や株式を借り入れて運用する制度のため、返済期限が定められています。
制度信用取引の場合は、買いから入った場合は売り、売りから入った場合は買い戻しを行って、概ね6ヶ月以内に返済をする必要があります。

信用取引の注意点②取引に手数料がかかる

資金や株式を借り入れるのですから、タダでは貸してくれません。借り入れに対する利息のほかいくつかの手数料(金利、貸株料、取引手数料、品貸料など)が発生します。証券会社各社で費用は異なることからよくチェックしておきましょう。

追加で保証金を求められることも

含み損が大きく発生した場合には、預けた委託保証金からその含み損の全額が差し引かれるため、不足した分の保証金が追加で必要となることがあります。

株主優待獲得のため、リスクを抑えた運用に利用されている

株主優待を獲得したいけれども、株価下落のリスクは取りたくないという人は信用取引を活用した「つなぎ売り」という手法を用いています。
つなぎ売りとは、現物買い(普通に株式を買う)と信用売りを同時に行い、売り買い両方のポジションを取ることで価格下落のリスクを抑制する取引のことをいいます。
株主優待の権利を得るには権利付き最終日に株を持っていればよいので、この権利付き最終日をまたぐ形で短い期間だけ取引を行うというものです。これであればリスクを極力抑えて株主優待を手に入れることができます。
なんだかズルい取引にみえますが、不正な取引ではないので安心してください。

信用取引で株式取引の幅が大きく広がる

いかがでしたでしょうか。
近年取引は増加傾向にあるとはいえ、ほとんどの人は「先に株を買って、後から売る」という「買い」ばかり行っています。
相場は常に上昇し続けるものではありませんので、信用取引をマスターすることは、どんな株式市場の動きにも対応できるようになるということです。
当然リスクのあるものですので、自己責任で取り組んでくださいとしか言えませんが…。