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医療・健康保険は誰が加入できるの?制度をわかりやすく解説

医療(健康)保険料は払わなくてはいけないの?

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新入職員

健康保険料というものが給与から天引きされています。これまでにほとんど病院に言ったことなんてないんですが、私も払わなくてはならないのですか?

健康保険というものは、誰かの治療代や薬代の負担を減らすため、すべての国民がお金を出し合って助け合う制度なんだ。誰だっていつ病気やケガをするか分からないからね。

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耕作

医療保険は何のためにあるのか

診察料や薬といった医療関係の費用というものはかなり高額です。
保険を適用しない場合、単なる風邪の診断を受けたとしても、診察費と薬代で1万円程度の負担となる可能性があります。
(自由診療といって医療費を自由に設定できるため、医療機関によって変わります)

このような価格帯では、ちょっとした体の不調であれば病院へ行くことを諦めてしまい、大きな病気を見逃し手遅れになってしまったり、手術などのさらに高額な治療費を払うことができない事態が想定されます。

そのため、日本は「国民皆保険(こくみんかいほけん)」といって、全ての国民を何らかの医療保険に加入させる制度をとっています。
医療保険は、国民全ての人が保険料を出し合い、誰かが病気やけがをしたら、その保険料を使って医療費を安くしてあげようという趣旨のもと作られているものです。

この医療保険に国民全員が加入していることから、私たちは病院での治療代を大きく減らせることができるのです。

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医療保険の種類

医療保険は加入対象者によって大きく2つに分けることができます。

1つめは被用者保険といって、健康保険(会社員向け)、船員保険(船員向け)、共済保険(公務員向け)に細分化されますが、基本的にはどこかの職場に務めている人が加入対象となるものです。

2つめは国民健康保険といって、上記の被用者保険に加入していない自営業者や無職の人が加入対象となるものです。

会社員は健康保険に加入する

会社員は健康保険に加入することとなりますが、運営の主体は様々であり、務める企業ごと(○○商事健康保険組合)だったり、業界ごとの(○○業健康保険組合)、中小企業などが加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)のいずれかとなります。

自営業や無職の人は国民健康保険に加入

会社勤めや公務員でない人、つまり自営業者や無職の場合は、住んでいる市区町村の国民健康保険に加入することとなります。
なお、生活保護を受けている人は医療費が原則かからないため対象外です。

医療保険の負担額、治療の対象

医療保険に加入しているため、私たちは3割の自己負担で医療サービスを受けることができます。
ただし、対象となるのは病気やケガのみであり、美容整形やレーシック、歯科矯正、健康診断、予防接種など、本人の意思で受ける医療サービスには適用されません(自己負担となります)。また出産も病気ではないので対象外、がんの最先端医療も標準的な医療技術ではないことから対象外となっています。

医療費自己負担が高額となった場合、一定額以上は払い戻される

医療保険には「高額療養費制度」というものがあります。

医療費の家計負担が重くならないよう、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1か月(歴月:1日から末日まで)で上限額を超えた場合、その超えた額を支給する「高額療養費制度」(こうがくりょうようひせいど)があります。

上限額は、年齢や所得に応じて定められており、
いくつかの条件を満たすことにより、負担を更に軽減するしくみも設けられています。

全ての方が安心して医療を受けられる社会を維持するために、高齢者と若者の間での世代間公平が図られるよう、負担能力に応じたご負担をいただく必要があります。
(出典:厚生労働省ホームページ

それぞれの所得によって「上限額」は変わりますが、例えばある月の医療費の自己負担が30万円だった場合、8万円が上限の人は、差額の22万円が戻ってくるといった制度です。
医療保険で負担する7割の医療費は各組合の組合費から捻出されますが、高額療養費制度で払い戻されるお金は国が支出するものとなります。

医療サービスの無駄遣いはやめよう

私たちがいつも医療費負担を3割で済ませられるのは、残りの7割を健康保険組合加入者みんなで賄っているからです。
病気やケガはいつ誰に起きるかは想定できません。万が一に備え、みんなで負担を分かち合う「相互扶助」の精神で健康保険は成り立っています。不要不急の医療サービスの乱用は健康保険組合の財源の悪化を招き、将来的な保険料値上げの要因ともなりえます。したがって利用者側は与えられた権利と考えず、節度をもった医療を心がけるべきなのです。

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