金融一般情報

リーマンショックに仮想通貨、消費者が踊らされるシャドーバンキングとは

シャドーバンキングとは

銀行を介さずに、銀行に類似した金融機能を果たすものをシャドーバンキングといいます。
情報の開示など銀行には様々な規制がかけられていますが、シャドーバンキングには規制をかけようにも捉えどころがなく、外部からはその実態を伺うことが容易ではありません。

規制緩和によって増加

シャドーバンキングは、規制緩和による金融の自由化によって、さまざまな金融技術の革新とともに次々と登場しました。
新しい金融サービスの登場といった形で、私たち消費者にも恩恵があるかのごとく浸透していったのです。

証券化とシャドーバンキング

証券化の担い手の実態

「証券化」という金融手法をご存知でしょうか。証券化は企業が持つ資産を担保にして、その資産が生み出すキャッシュフローのみを返済原資とするノンリコース(非遡及型)型のファイナンスのことをいいます。

証券化はデリバティブと並ぶ金融技術革命ともいわれ、企業からすれば企業の信用力と切り離してファイナンスをつけることができますし、投資家にとっても企業ではなく、企業が持つ資産に対して投資ができるというメリットを提供します。

ですが、証券化は銀行を似た金融機能を発揮するものの、その役割を実際に担っていたのはペーパーカンパニーであり、実態を伺い知ることの出来ないシャドーバンキングが幅を利かせています。

リーマンショックの引き金もシャドーバンキング

世界を震撼させたリーマンショックの原因となったサブプライムローン危機はこの証券化が招いたといわれています。

サブプライムローンは返済リスクの高い住宅ローンのことをいいますが、リスクが高い分金利も高いため、証券化により魅力度の高い投資商品となりました。そのためローン会社はサブプライムローン残高をどんどんと増やし、証券化商品として売却を進め、その証券化商品は世界中の投資家に販売されていきました。
結果として米国の不動産市況が悪化したため、その証券化商品も一気に値崩れし、歴史的な金融危機に発展することとなったのです。

証券化商品は先述の通りペーパーカンパニーによって取り組まれ、その実態が把握しにくくなり、監視の目も行き届かなくなっていました。よって市場が過熱し、リスクを正しく見積もることができなくなってしまったのです。

中国の理財商品はシャドーバンキングの代表格

中国の話ですが、理財商品とは銀行において正規融資を受けられない中小企業や不動産業者、地方政府などに対し資金を供給し、投融資先の債券や貸出債権を小口化して販売する商品で、シャドーバンキングの代表的な商品といえるものです。

総額300兆円とも言われているこのマーケットが破綻すれば、世界的な同時株安など金融危機が起きる可能性があると言われています。

中国ではこの問題の抜本的な解決のため、規制の強化など対策を進めています。

仮想通貨業者もシャドーバンキングなのか?

日本でもコインチェックのネム流出問題が起き、仮想通貨のバブルが一気に弾けました。
フィンテック関連の金融技術の革新とともに頭角を表した仮想通貨市場は、当局の規制が整う前に一気に過熱し大金が流れこむようになりました。

結果、システム面の弱点を突かれる形でハッキングの被害を受け、最終的には私たち消費者(個人投資家)が被害を受けることとなりました。

こうした仮想通貨市場も、銀行類似の金融機能を果たすものとしてシャドーバンキングのひとつといえるのでしょう。

規制が追いついていない金融商品は多い

リーマンショックの原因となった証券化や仮想通貨など、既に大きな問題が生じたケース以外でも、様々なシャドーバンキングのように監視の目が行き届いていない商品が存在します。これらは未だ規制が追いついておらず、いずれ社会的に大きな問題が生じる可能性がないとはいえません。

以下はシャドーバンキングの定義からは外れますが、市場の過熱に注意すべきファイナンスと考えられます。

クラウドファンディング

近年盛り上がりを見せている投資ですが、法律による規制はまだまだ追いついていません。規制が緩いからこそ、業者はこぞって参入し、ありとあらゆる手法で投資家からの資金を引き出すことを考えていることでしょう。
現状ではクラウドファンディング運営会社が破綻した場合の投資金の保証・補填は受けられず、泣き寝入りする可能性が高いのです。

個人間融資

個人間融資とは、業者を介さない個人間の融資のことをいい、主にインターネットの掲示板やSNSを使って個人間のお金の貸し借りが行われるものです。

あくまで個人間のやり取りなので、自己責任で勝手にやる分には結構なのですが、やはりこういった市場に目をつけてビジネスを始める会社が出てきます。以下の記事を見るだけで、市場が未成熟であることは明らかです。

証券取引等監視委員会は6日、ネット経由で融資を仲介するソーシャルレンディング最大手のmaneoマーケット(東京・千代田)を行政処分するよう金融庁に勧告した。募集時の説明と異なる目的に流用されたのを見過ごすなど、管理体制に重大な不備があったため。流用額は少なくとも10億円以上で、焦げ付くおそれがあるという。
引用:2018/7/6日本経済新聞記事

監視の目が届いていない商品を買うリスクを認識しておこう

私たちはインターネット広告等を通じて、様々な新しい投資案件を知ることができます。近年はIT技術の革新も相まって、利便性の高いサービスも良く見かけるようになりました。

コインチェックの問題でもあったように、お金儲けに絡む金融というものは一般の財サービスとは異なり、行き過ぎが起きやすいものです。

流行りだの、儲かるだのの甘い言葉・流れに誘われるまま、大事な資産をつぎ込むことは大変危険です。

日々規制の甘い金融サービス利用しているということを意識して、厳しい目で見極めていく必要がありそうです。