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年末は株価が上がる?下がる?株式の不思議な傾向「アノマリー」とは

年末の株価はいつも上がる傾向に?

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新入職員

株式投資をしている人が、年末に株価が上がると言っていました。どうしてんなことが分かるんですか?

実際のところ、2011年から2017年までの6年間連続で、9月から12月にかけて株価が上昇しており、そのうち大半が10%以上の上昇と、年末にかけての株式市場は盛り上がりを見せていたんだ。でも、これからも必ず上昇するとは言えないんだよ。

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耕作

年末株高のトレンドは掉尾の一振(とうびのいっしん)と呼ばれています。掉尾とは「最後になって物事が勢い盛んになること」、一振とは「きっぱりと取り払うこと」をあらわしており、物事の最終局面で勢いを増すという意味で、株式市場では年末の大納会に向けて株価が上昇することを指す用語として使用されています。

では、なぜこのように年末にかけて株価が上昇する傾向があるのでしょうか?

年末に向けて売りが先行し、その後恣意的な買いが入る

12月は海外機関投資家にとっては決算の月となります。
そのため、決算対策として含み損を抱えた株式の売却を行うことが多くなります。
そのほか個人の投資家についても、損益通算のため株式の売却を進める傾向が現れます。

このように年末にかけて売りが先行することから、一旦は株価の押し下げ要因が強くなります。

この売りが一巡すると、機関投資家やファンド等の運用主体が年末にまとまった買い注文を入れる「ドレッシング買い」が発生し、株価が引き上げられることとなります。
ドレッシング買いとは、機関投資家やファンドの運用機関などが、12月の決算期末において株式の評価額を上げたり、自己の保有する資産の評価額を吊り上げる事を目的として、恣意的に買い注文を入れることです。 お化粧買いともいいます。

つまり年末の株価の上昇は意図的な評価額釣り上げによって発生しているのです。

年末株高の傾向はあくまでアノマリー

年末に株価が上昇するというのは昔から言われているアノマリーです。アノマリーとは、理論的に説明することが難しい傾向や経験則のことをいいます。つまり、確たる根拠は無いものなのです。

ちなみに本来このアノマリーは、12月は売り優勢で株価は下がり、翌年1月にその反動による買いからの株価上昇が起きるというものだったそうですが、最近は年内のうちに(クリスマスを目処に)株価が上昇するようになってきたといわれています。

年末のトレンドに乗るべきか

これまでに6年連続株高となったからといって、今年も同じようになる確証はどこにもありません。
リーマン・ショックが発生した2008年の年末の株価は30%以上下落したこともあり、経済環境の急激な変化により大きな損失を被る可能性もないとは言い切れません。

基本的に投資は長期目線で行うべきであり、結果として年末の株高に乗れる分には良いことですが、短期的な目線で一か八かの勝負にでる必要も全く無いといえます。

上述の通り、年末の株高は機関投資家等の恣意的な動きが関連しています。個人投資家であるあなたが踊らされる必要はなく、傍観するのがベターなのではないでしょうか。