生活関連

【長生きリスクの保険】国民年金を解約したいと思う人へ捧ぐ年金のメリット

「国民年金なんて不要。できるなら解約したいよ。」
このように考えている方、少子高齢化により年金への風当たりは強く、その気持ちは理解できます。

しかし公的年金がもたらす最大のメリットは「想定外の長生きに対する保険」ということです。

年金について、詳しく解説していきます。

どうして年金の保険料を払わなくてはならないの?

新入職員
新入職員
給料から年金保険料が勝手に天引きされています。年金は将来破綻すると聞いているのに毎月多額の支払いを行わなくていはならないことに納得できません。老後のお金は自分で貯めたり運用したりするほうがいいじゃないですか。
耕作
耕作
国民皆年金(こくみんかいねんきん)といって、年金制度への加入と保険料の納付は国民の義務。だからこれは避けることはできないんだよ。年金に対する理解を深めれば、将来の長生きに対する備えとして非常に重要な役割を担っていることが理解できると思うよ。

現在の国民年金保険料はいくら?

平成30年度(平成30年4月~平成31年3月まで)現在の国民年金保険料は16,340 円です。毎年保険料は見直されており、大半が引き上げの方向で進んでいます。
平成25年度が15,040円でしたので、この5年間で1,300円も上昇していることになります。
さらには平成31年度(平成31年4月〜平成32年3月まで)においては、今年度より70円値上げとなり、16,410円となる予定です。

国民年金保険料の月額

  • 平成25年度は15,040円
  • 平成30年度は16,340円
  • 平成31年度は16,410円(+70円)

年金は将来破綻するのか?

年金問題が取り上げられるたび、「年金は破綻している」だとか「将来は年金がもらえなくなるだろう」とか「自分で積み立てたほうがマシ」といった意見がよく出ています。

確かに年金保険料の支払いはかなりの負担であり、将来性が見込まれないとなればそのような意見がでることは明らかです。

ですが、年金破綻説は真っ赤なウソであり、いわゆるメディアの話題作りなのです。
現在の国民年金保険は、集金できる保険料の範囲内でしか年金として給付しないと決められています。これを賦課方式といい、働いている人の給与から、年金受給者に対して年金が支払われるのです。

年金は将来破綻するのか?出典:厚生労働省

【賦課(ふか)方式とは】

国民年金は自身が積み立てた金額に応じて給付されるもの(積立方式)ではなく、納付された保険料がそのまま受給者へ渡される賦課方式となっています。

したがって、あなたが受給する国民年金は、その時に働いている下の現役世代が支払った保険料が原資となります。

賦課方式を採用することで、将来のインフレや給与水準の変化に対応でき、資産の価値が目減りしにくくなります。

ただし現役世代と受給者世代の比率の変化に応じて、保険料の値上げや給付額の引き下げを検討する必要があります。

保険料は上がるが深刻に考えるほどではない

我らが日本国は少子高齢化が深刻な悩みであることはご承知だと思います。

国民年金が賦課方式ということであれば、少子高齢化の進行にともなって、現役世代の保険料の引き上げが進むことがリスクと考えますよね?

保険料は上がるが深刻に考えるほどではない出典:厚生労働省

このような事態を避けるため、公的年金制度には将来にわたって制度を安定させるための仕組みがあります。 私たちが支払う国民年金の保険料に上限を設けており、収入の範囲内で保険料の給付水準を自動的に調整するという仕組みです。

したがって保険料の上昇する可能性は高いですが、際限なく上昇するということはありません。

自分が長生きしてしまうリスクを考えてみよう

日本は長寿国です。男性の平均寿命は79歳、女性の平均寿命は86歳であり、女性については世界一の長寿といわれており、2人に1人が90歳まで生きることとなります。また、16人に1人が100歳越えるまで長生きする時代となっています。

では、あなたは何歳まで生きるのでしょうか。

人生における最大のリスクは、想定以上に長生きしてしまうことではないでしょうか。

老後の1か月の生活費は、60代の世帯で30万円、70代以上の世帯で22万円といわれています。仮に65歳で退職し、95歳まで生きた場合、トータルで8,300万円のお金が必要となります。さらに96歳、97歳…100歳を越え、想定外に長生きしてしまった場合、どれほどのお金が必要になるのでしょうか。
現役時代の貯蓄だけでは到底まかなえず、破綻の道を歩むこととなりかねません。

国民年金保険は長生きリスクに対する保険と割り切る

日本の少子高齢化の流れは変えられず、高齢者が増加する一方、労働人口が減少すれば、上述の賦課方式による年金給付では、将来的な年金給付額が減少するかもしれません。

ただ、現代は自分の寿命は誰にも予想することができない中、100歳まで生きることが十分可能な時代です。

老後に安心して生活するためには、自分の貯金を頼りにすることは困難。そこで、想定以上に長生きしてしまうリスクに備えるための保険として、私達は年金の保険料を支払い続けるのです。