生活関連

JPQRのメリットとデメリット、キャンペーン後の決済手数料について

JPQRとは

総務省の統一QR普及事業のことをいいます。2019年8月から、岩手県・長野県、和歌山県、福岡県でのみ先行して事業が開始されており、2020年5月から全国展開を予定しています。
この事業は国内のQRコード決済サービス会社(LinePay,PayPay,楽天Payなど)が個別に発行していたQRコードやバーコードの規格を統一化して、ひとつのQRコードやバーコードにしましょうというもの。

JPQRとは出典:https://jpqr-start.jp/r2/index.html

これまで、店舗では色々なQRコード決済会社と契約することで、店頭にそれぞれの決済会社のQRコードを掲示する必要がありましたが、この「JPQR」に参加することで、ひとつのQRコードを掲示するだけで、様々なQRコード決済会社の支払いを利用することができるようになります。

JPQRに参加する決済事業者一覧

現在、JPQR事業に参加を表明しているQRコード決済事業者は以下のとおりです。

参加事業者(2020年3月時点)
  • au PAY
  • UnionPay(銀聯)
  • d払い
  • FamiPay
  • PayPay
  • メルペイ
  • ゆうちょPay
  • YOKA! Pay
  • LINE Pay
  • 楽天ペイ(アプリ決済)
  • J-Coin Pay(参加に向け調整中)

つまりこれらのQRコード決済を利用している人は、JPQR事業に参加している加盟店で支払いができますし、加盟店は、JPQR事業に参加することで、これらの決済を導入することができます。

JPQRのメリットとデメリット

JPQRを利用する人(ユーザー)のメリット

JPQR事業が終了しても、利用者に特別不利益はない

利用する側はJPQR普及後も、今まで使っていたQRコード決済のアプリを利用して支払います。ただ店頭でスキャンするQRコードがどのアプリでも同じものになるだけ。

仮にJPQR事業がうまくいかず、撤退したとしてもQRコード決済は今までどおり利用可能です。ただし、加盟店数は減るかも知れませんが。

マイナポイントを活用できる

2020年度より開始する「マイナポイント」を活用した決済にJPQRが対応する予定となっています。マイナポイントを使用して店頭の支払いを行うことができるようになります。

マイナポイントとは、マイナンバーカード・マイキーIDを取得した人が、民間のキャッシュレス事業者のアプリへチャージなどした場合、一定額をプレミアム率25%で国が付与するポイントです。
JPQR事業に参加するキャッスレス事業者は基本的にこのマイナポイント付与の対象事業者となる見込みです。

QRコード決済が利用できるお店が増えるかもしれない

「あの店はPayPayだけ」「こっちの店はメルペイだけ」なんてことがよくありますが、JPQRが普及すれば様々な決済サービスが利用可能なお店が増え、私たち消費者の利便性が向上していきます。

JPQRを導入する加盟店のメリット

年会費や初期手数料がかからない

JPQR事業に参加するにあたって、審査書類等の手続きこそ当然ありますが、年会費や初期手数料がかからないため、導入にあたっての敷居は低くなっています。

決済手数料率の優遇期間がある(6月30日まで)

期間中の申し込みを行うと、優遇期間中(現在は6月30日まで)は通常よりも低い金額の決済手数料(最大1.8%程度)での契約ができます。

複数の国内決済サービスと一度の申込みで同時契約が可能

これが加盟店にとっての一番のメリットかもしれません。
これまではQRコード決済業者一社一社と個別に契約する必要がありましたが、JPQRではひとつの審査・契約ですべてのQRコードを利用することができますので、手続きにかかる事務負担が非常に軽減されます。

統一化されたQRコードにより、レジが楽になる

JPQRがあれば複数の決済サービスを利用できるため、1つのQRコードを掲示するだけで済み、管理や決済が簡単かつスピーディになることから、従業員の手間が減ります。

JPQRを利用する人(ユーザー)のデメリット

利用者はどんな決済サービスも利用できるわけではない

JPQRが普及しても、利用者のアプリは統一化されません。各決済事業者のアプリをダウンロードして使う必要があります。
アプリを導入していない決済サービスでの支払いはできません。

JPQR専用のアプリが出て、そのアプリでどんな決済サービスでも利用できるのかと考えていましたが、そういう訳ではないようですね。

JPQRを導入する加盟店のデメリット

資金繰りに影響が出る

QRコード決済された売上金はおよそ2週間から1か月後の銀行営業日に入金されます。決済業者によって入金のサイクルは異なりますが、概ね1か月に1回か2回の入金が多いです。

そのため、現金商売とは違い、実際にお金が入るまでのタイムラグが発生します。資金に余裕がない場合、仕入れ資金の支払いなどに影響が出る可能性があります。

決済手数料が負担になる

キャンペーンにより低い利率に抑えられていますが、いずれにしても決済手数料として、売上の数パーセントがかかります。現金商売から、JPQRを通じたキャッシュレス決済に完全に移行した場合、手数料分だけ利益が減少することとなります。

問題は、どの程度の決済手数料がかかるかということ。
決済手数料については、下で解説します。

(加盟店向け)JPQRキャンペーン後の決済手数料率は?

JPQRでは、2020年6月までキャンペーンにより、決済手数料が0%から最大1.8%程度まで抑えられています。

それではキャンペーン後の決済手数料はどうなるのでしょうか。
これについては総務省のJPQR事業説明書(下記に抜粋)を見ると分かります。
(クリック・タップで拡大できます)

(加盟店向け)JPQRキャンペーン後の決済手数料率は?出典:総務省「統一QR「JPQR」普及事業事業者様向け説明資料」

少し古い資料のため、PayPayなどの事業者の記載がありませんし、現在は内容が変わっている可能性がありますが、考え方を理解するには十分な資料だと思います。

まず、決済手数料は「消費者が利用した決済サービスによって異なる」ことを認識する必要があります。手数料設定は各サービスで異なり、ずっと0%のものもあれば、キャンペーン等終了後は3%以上に跳ね上がるものもあります。

手数料率が異なるため、安い手数料率の決済サービスを加盟店としては利用して欲しいものですが、JPQRに参加する以上、どの決済サービスが多く利用されるかは消費者次第ですので、事前に把握することは難しいでしょう。これもJPQRのデメリットのひとつかもしれません。

(加盟店向け)JPQRへの申込方法

全国の店舗を対象に2020年5月末から、WebサイトでJPQR申込み受付が開始される予定となっています。
申し込み開始に先立って、全国で申込みかかる説明会等が実施されていますので、興味のある方は参加してみてはどうでしょうか。