金融一般情報

世界の主要な中央銀行の概要を分かりやすく解説

中央銀行とは

中央銀行とは、国家や特定の地域の金融機構の中核となる機関です。日本の中央銀行は日本銀行です。その国や地域で通貨として利用される銀行券(紙幣、貨幣)を発行する「発券銀行」であり、通貨価値の安定を図る金融政策を司るため、「通貨の番人」とも呼ばれます。また、市中銀行に対しては預金を受け入れるとともに、最後の貸し手として資金を貸し出す「銀行の銀行」であり、国の預金を受け入れることで政府の資金を管理する「政府の銀行」という立場を持ちます。
中央銀行は金融政策を通じて、物価の安定に対して責任を負っています。また、金融に関して独自の判断をするという位置づけで、政府から独立した存在であることが求められています。
出典:SMBC日興証券

中央銀行は金融を知るにあたって非常に重要な存在です。その概要について覚えておいて損はないでしょう。

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耕作

中央銀行は独立した存在

多くの先進国では、中央銀行は政府から独立した存在とされています。
これを中央銀行の独立性といい、政府の圧力を受けずに自らの判断で金融政策を実施しているのです。
2018年は米国のFRBによる利上げに対し、トランプ大統領がFRBを痛烈に批判していました。この事態こそが政府と中央銀行それぞれが独立していることを表しています。

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これだけは覚えよう。世界の主要な中央銀行たち

①連邦準備制度理事会(FRB)

米国では連邦準備制度という制度があり、米国内の各地区を管轄する12の中央銀行が存在しています。
その12の中央銀行の上部に位置するのが連邦準備制度理事会(FRB:Federal Reserve Board)です。
日本とは異なり米国では中央銀行が12行もありますが、その上位意思決定機関である連邦準備制度理事会は実質的な米国の中央銀行そのものであり、特に重要な存在です。

連邦準備制度理事会は7名の理事(うち議長1名、副議長1名)で構成されており、任期は14年となっています。議長と副議長については4年の任期で理事たちの中から選出されます。

連邦準備制度理事会は、米国の市中銀行の監督や規制、金融政策の実施、支払い制度の維持、国債の発行などの金融政策を策定し実施しています。そのためFRB議長の意思決定は世界への影響力が非常に強いため、大統領に次ぐ権力者と呼ばれています。

なお、米国の金融政策を決定する会合のことを連邦公開市場委員会(FOMC)といい、連邦準備制度理事会の議長と副議長を含む理事7名と地区ごとの連邦準備銀行総裁5名で構成されています。FOMCは年8回+必要に応じて臨時で開催されています。

②欧州中央銀行(ECB)

統一通貨であるユーロを採用しているユーロ圏では、各国の中央銀行の上に、ユーロ圏全体の中央銀行として欧州中央銀行が設置されています。

欧州中央銀行は、域内の金融政策の策定と実施、ユーロの発行・管理、為替操作、加盟国の公的外貨準備の保持・管理、決済制度の運営などを担っています。ECBもFRBと同様に、ユーロ圏という巨大な経済圏において金融政策を統括しており、世界の金融市場へ大きな影響を与える存在です。

欧州中央銀行の最高意思決定機関をECB政策理事会といいます。この理事会は、総裁と副総裁、4名の理事、ユーロ圏各国の中央銀行総裁によって構成されています。なお、総裁と副総裁を含む理事は、加盟国の国籍を保有している者のみがメンバーとなることができ、任期は8年となっています。

金融政策に関する会合は、6週間に1度開催され、意思決定方式に輪番制(投票権が輪番で回ってくる方式で、大国は採決に参加できる頻度が小国よりも高まるような配慮あり)を採用しています。

③日本銀行(日銀)

お馴染みの日本の中央銀行です。
日銀には①発券銀行として紙幣の供給と回収を行う。②金融機関同士の資金の貸し借りを行う。③政府の銀行として、税収の受け取りや国債の発行、外国為替の決済処理を行う。④金融機関の経営危機等に対して緊急融資を行い、金融システムを安定させる。⑤公定歩合の調整など、様々な金融政策を実施する役割を担っています。

日銀には、役員として総裁と副総裁2名、審議委員6名、監事3名(以内)、理事6名(以内)、参与が設置されています。このうち総裁と副総裁および審議委員6名が、政策委員会という最高意思決定機関を組織しており、この委員会で実施される政策決定会合によって日本の金融政策が決定します

過去に日銀総裁が1ヶ月間不在だったことがありますが、その場合でも世界経済にほとんど影響を与えることはなかった経緯もあり、世界的に見れば日銀の影響力はそこまで大きくはないと考えられます。
ですが私たち日本人にとって、日銀は自国の金融政策を決定する機関であることから重要な存在であることに違いはありません。

中央銀行の動きは経済の動きをつかむヒント

日本経済、そして世界経済で何が起きているかを知るにあたっては、中央銀行の金融政策やトップの発言などに注目していく必要があります。特に米国のFRB議長の発言は世界的なマーケットへの影響力も大きく、世界中の投資家たちが注目しています。